令和8年度実施

業務改善助成金とは?

最低賃金の引き上げに対応しながら、設備投資の負担を抑えたい中小企業・小規模事業者の方へ。国の助成金と、石川県独自の上乗せ支援をあわせてご紹介します。

最終更新日: 2026.07.13|監修: 行政書士法人クロノス(代表社員 黒川光智)

業務改善助成金とは(制度概要)

業務改善助成金は、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を50円以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資等を行った中小企業・小規模事業者に対し、その設備投資等にかかった費用の一部を助成する厚生労働省の制度です。POSレジシステムやフォークリフトといった機器の導入、業務フローを見直す経営コンサルティングの費用などが対象になります。

最低賃金の引き上げは全国的に続いており、賃上げへの対応に頭を悩ませる中小企業は少なくありません。業務改善助成金は、賃上げの原資そのものを補うのではなく、賃上げを実現するための生産性向上の投資を後押しする制度である点が特徴です。設備投資によって省力化・効率化を進め、その結果として賃金を引き上げる、という流れを支援します。

項目内容
正式名称業務改善助成金
実施機関厚生労働省(申請窓口は事業所を管轄する都道府県労働局)
対象者中小企業・小規模事業者
助成上限額30万円〜600万円
助成率3/4〜4/5(事業場内最低賃金の水準による)
令和8年度の申請期間令和8年9月1日〜地域別最低賃金発効日の前日または同年11月30日のいずれか早い日

令和8年度の申請スケジュールとポイント

令和8年度の業務改善助成金は、申請受付の開始が令和8年9月1日です。申請期限は都道府県ごとに定められる地域別最低賃金の発効日の前日、または令和8年11月30日のいずれか早い日となるため、設備投資の検討や見積もりの準備は早めに進めておくことをおすすめします。

  • 申請受付開始は令和8年9月1日です
  • 申請期限は、事業所が所在する都道府県の地域別最低賃金の発効日の前日、または令和8年11月30日のいずれか早い日です
  • 賃金引き上げ額のコースは、50円コース・70円コース・90円コースの3区分です
  • 令和7年度から、助成対象経費の特例だった自動車(特殊用途自動車を除く)は対象外となりました
  • 令和7年度から、賃金を引き上げる対象労働者は雇用保険被保険者に限定されています

申請できる3つのコース

業務改善助成金は、事業場内最低賃金をいくら引き上げるかによって3つのコースに分かれます。引き上げ額が大きいコースほど、助成上限額も高く設定されています。

50円コース

事業場内最低賃金を50円以上引き上げるコースです。3コースの中で引き上げ額は最も小さく、助成上限額は30万円〜130万円です。

70円コース

事業場内最低賃金を70円以上引き上げるコースです。助成上限額は40万円〜300万円です。

90円コース

事業場内最低賃金を90円以上引き上げるコースです。3コースの中で引き上げ額が最も大きく、助成上限額も90万円〜600万円と最も高く設定されています。

助成金額・助成率

助成される金額は、「設備投資等にかかった費用 × 助成率」と「助成上限額」を比較し、いずれか低い方の金額になります。助成上限額は、コースと、賃金を引き上げる労働者の人数によって決まります。

引き上げる労働者数50円コース70円コース90円コース
1人30万円(事業場規模30人未満は40万円)40万円(同50万円)90万円(同100万円)
2〜3人40万円(同70万円)50万円(同100万円)150万円(同240万円)
4〜5人70万円130万円270万円
6〜7人90万円180万円360万円
8人以上110万円230万円450万円
10人以上(特例事業者のみ)130万円300万円600万円

「10人以上」の上限額区分は、事業場内最低賃金が1,050円未満の事業者、または直近6か月間平均の利益率が前年度より3%ポイント以上低下している「特例事業者」が、10人以上の労働者の賃金を引き上げる場合にのみ対象になります。

事業場内最低賃金(引き上げ前)助成率
1,050円未満4/5
1,050円以上3/4

※補助上限・補助率・対象経費は公募回により変わります。申請前に最新の公募要領(各実施機関の公式情報)を必ずご確認ください。(本ページ最終確認: 2026-07)

対象となる事業者・要件

業務改善助成金の対象となるのは、次の要件をすべて満たす事業者です。

  • 中小企業・小規模事業者であること(大企業と密接な関係を有する、いわゆる「みなし大企業」に該当しないこと)
  • 事業場内最低賃金が、令和8年度の地域別最低賃金未満であること
  • 解雇や賃金引き下げなど、不交付事由に該当しないこと
  • 賃金を引き上げる労働者が、週所定労働時間20時間以上の雇用保険被保険者であること
  • 労働者がいない事業者(従業員のいない個人事業主等)は対象になりません
  • 解雇や賃金引き下げなど、不交付事由に該当する場合は対象になりません
  • 自社が中小企業・小規模事業者に該当するかどうか(資本金・従業員数の基準は業種によって異なります)が不明な場合は、断定せず労働局または業務改善助成金コールセンターにご確認ください

工場と事務所、複数の店舗など、労働者がいる事業所を複数持つ会社は、事業所ごとに申請する仕組みです。本社が一括してまとめて1件で申請することはできないため、どの事業所で賃金引き上げと設備投資を行うかを、事業所単位で計画する必要があります。

助成対象となる経費

助成対象となるのは、生産性向上に資する設備投資等の費用です。経費区分は「機器・設備の導入」「経営コンサルティング」「その他」の3つに分かれ、厚生労働省が示す活用例には、次のようなものがあります。

  • POSレジシステムの導入(在庫管理の時間短縮)
  • フォークリフトなど機械設備の導入(荷下ろし時間の短縮)
  • 国家資格者による経営コンサルティング(業務フローの見直し等)
  • 顧客管理情報のシステム化

いずれの経費区分でも、単に古い設備を買い替えるだけでなく、「その投資によって生産性がどう向上するのか」を計画段階で具体的に説明できるようにしておくことが重要です。

  • 自動車(特殊用途自動車を除く)は、令和7年度から助成対象外です
  • パソコン・スマートフォン・タブレット等の端末や周辺機器は、原則対象外です(物価高騰等要件に該当する特例事業者のみ、新規導入分が対象になります)
  • 交付決定前に発注・導入した設備等は、助成の対象になりません

石川県の上乗せ支援「業務改善奨励金」

石川県内の中小企業・小規模事業者には、もう一つ知っておきたい制度があります。石川県が独自に実施する「石川県業務改善奨励金」です。国の業務改善助成金の交付決定(支給決定通知)を受けた事業者を対象に、自己負担分の一部をさらに県が補助する仕組みで、国と県のダブル支援を受けられる制度です。

石川県業務改善奨励金の補助率は、国の助成後に残る自己負担分の1/2(上限あり)です。設備投資費用全体に対する比率に換算すると、国の助成率が4/5の場合は1/10、3/4の場合は1/8になります。補助上限額は最大100万円です。

項目内容
正式名称石川県業務改善奨励金
実施機関石川県(労働企画課)
対象者国の業務改善助成金の交付決定(支給決定通知)を受けた県内中小企業・小規模事業者
補助率国の助成後の自己負担分の1/2(設備投資費用全体では1/10または1/8)
補助上限額最大100万円
申請方法郵送のみ。国からの支給決定通知書の写し等を添えて石川県労働企画課へ提出

申請の順番に注意が必要です。石川県業務改善奨励金は、国の業務改善助成金の交付額確定・支給決定通知を受けた「後」でなければ申請できません。国への交付申請だけでなく、石川県への申請スケジュールもあわせて計画しておくことをおすすめします。

石川県賃上げ事業者支援センター(ワンストップ窓口)

石川県業務改善奨励金に関する相談は、石川県賃上げ事業者支援センターが窓口です(電話:0120-500-912、受付時間:10:00〜17:00、土日祝日を除く)。

令和8年度のスケジュール

令和8年度の業務改善助成金・石川県業務改善奨励金のスケジュールは、次のとおりです。

項目期間・期限
業務改善助成金 申請期間令和8年9月1日〜地域別最低賃金発効日の前日または同年11月30日のいずれか早い日
業務改善助成金 賃金引き上げ期間令和8年9月1日〜地域別最低賃金発効日の前日
業務改善助成金 事業完了期限交付決定年度の1月31日(やむを得ない理由がある場合は3月31日まで延長可)
石川県業務改善奨励金 申請期限令和9年3月10日(郵送必着)

申請の流れ

1

設備投資・賃金引き上げの計画を立てる

生産性向上に資する設備投資等の内容と、事業場内最低賃金の引き上げ額・引き上げる労働者数を決めます。

2

GビズIDプライムを取得する(電子申請の場合)

Jグランツでの電子申請にはGビズIDプライムが必要です。マイナンバーカードによるオンライン申請なら最短即日、郵送申請では1週間程度かかります。

3

都道府県労働局へ交付申請

事業所を管轄する都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)へ、交付申請書・事業実施計画書等を提出します。

4

審査・交付決定

労働局が申請内容を審査し、交付決定を行います。交付決定前に設備投資等を実施すると助成対象外になるため、必ず決定後に発注してください。

5

設備投資・賃金引き上げを実施

計画に沿って設備の導入や賃金引き上げ(就業規則の改定を含む)を行います。

6

実績報告・支給申請

事業完了後、労働局へ事業実績報告書と助成金支給申請書を提出します。

7

助成金の受給

労働局の審査を経て交付額が確定し、業務改善助成金が支給されます。

8

(石川県内事業者)石川県業務改善奨励金の申請

国からの支給決定通知書の写し等を添えて、石川県労働企画課へ申請書を提出します。

9

(石川県内事業者)奨励金の受給

県による審査を経て、石川県業務改善奨励金が支給されます。

交付決定に向けたポイント

交付決定前の発注・購入は厳禁

業務改善助成金は、交付決定を受けてから設備投資等を行うことが大前提です。見積もりの取得までは進めてよいですが、発注・契約・支払いは交付決定後まで待つ必要があります。

就業規則の改定を忘れずに

引き上げ後の事業場内最低賃金額は、就業規則等に明記する必要があります。賃金引き上げの実施と就業規則の改定はセットで進めてください。

対象労働者の数え方に注意

「引き上げる労働者数」には、事業場内最低賃金である労働者本人だけでなく、賃金の逆転が生じる労働者も条件付きで算入できます。人数の数え方を誤ると、想定していた助成上限額の区分と食い違うことがあります。

地域別最低賃金の改定にあわせる場合は発効日の前日までに

地域別最低賃金の改定にあわせて事業場内最低賃金を引き上げる場合は、発効日の前日までに引き上げを完了させる必要があります。発効日の当日に引き上げても、業務改善助成金の対象にはなりません。

予算の範囲内での運用

業務改善助成金は予算の範囲内で交付されるため、申請期間内であっても募集が終了する場合があります。早めの準備・申請をおすすめします。

注意点

  • 交付決定を受ける前に設備投資等を実施した場合は、助成の対象になりません。
  • 同一事業所の申請は、年度内1回までです。
  • 業務改善助成金は予算の範囲内で交付されるため、申請期間内であっても募集を終了する場合があります。
  • 石川県業務改善奨励金は、国の業務改善助成金の交付額確定・支給決定通知を受けた後でなければ申請できません。あわせて検討する場合は申請スケジュールにご注意ください。
  • 本記事は令和8年4月時点で厚生労働省・石川県が公表した情報(令和8年度版リーフレット等)に基づきます。実際の交付要綱・要領は変更される場合がありますので、申請前に必ず最新の情報をご確認ください。

よくある質問

Q業務改善助成金は助成金なので、補助金と違って支給が確約されていますか?

業務改善助成金は「助成金」に分類される制度で、要件を満たせば支給される可能性が高い点が、審査で採否が決まる「補助金」との違いです。ただし、交付決定前に設備投資等を実施した場合や、要件を満たさない場合は支給されません。支給が確約されるものではないため、事前の要件確認が重要です。助成金と補助金の違いについては、当サイトの「助成金とは」のページもあわせてご覧ください。

Q事業場内最低賃金とは何ですか。地域別最低賃金と同じですか?

事業場内最低賃金とは、事業場で最も低い時間給のことです。国が都道府県単位で定める地域別最低賃金とは別の概念ですが、算定方法は地域別最低賃金と同様の考え方に基づきます。業務改善助成金では、雇入れ後6か月を経過した労働者の事業場内最低賃金を引き上げる必要があります。

Qパソコンやタブレットの購入は対象になりますか?

原則として、パソコン・スマートフォン・タブレット等の端末や周辺機器は対象外です。ただし、原材料費の高騰などにより利益率が悪化している「特例事業者(物価高騰等要件)」に該当する場合は、新規導入分に限り対象経費として認められます。該当するかどうかの判断は、労働局または業務改善助成金コールセンターへの確認をおすすめします。

Q石川県の上乗せ支援は、国に申請すれば自動的に受けられますか?

自動的には受けられません。石川県業務改善奨励金は、国の業務改善助成金とは別に、石川県労働企画課への申請が必要です。国の交付額確定・支給決定通知を受けた後に、申請書と国の通知書の写し等を郵送で提出する必要があります。

Q交付決定前に急いで設備を導入してしまった場合はどうなりますか?

交付決定前に設備投資等を実施した場合、その部分は助成の対象になりません。業務改善助成金は、計画の承認を受けてから実施する制度である点に注意が必要です。

Q業務改善助成金と他の補助金・助成金を併用できますか?

制度によって重複制限の有無が異なります。個別の併用可否は、申請予定の各制度の公募要領・交付要綱で確認するか、労働局や専門家にご相談いただくことをおすすめします。

Q申請は自力でもできますか。専門家に依頼したほうがよいですか?

自力での申請も可能な制度ですが、計画書の作成や「引き上げる労働者数」の数え方など、要件の解釈に注意が必要な部分もあります。行政書士法人クロノスでは、国の業務改善助成金と石川県業務改善奨励金をあわせた申請サポートを行っています。

公式情報(一次情報)

本記事は上記の公式情報をもとに作成しています。申請にあたっては必ず最新の公募要領をご確認ください。

業務改善助成金の活用をお考えの方へ

行政書士法人クロノスは石川県かほく市の事務所です。国の業務改善助成金の交付申請から、石川県業務改善奨励金の上乗せ申請まで、あわせてサポートいたします。