石川県起業促進補助金とは?
能登半島地震・奥能登豪雨からの復興に向けて、能登3市3町で新しく起業する方や、第二創業・第三者承継で事業を引き継ぐ方を支援する石川県の制度です。対象者や補助額、申請の流れを行政書士法人クロノスが整理しました。
最終更新日: 2026.07.13|監修: 行政書士法人クロノス(代表社員 黒川光智)
どんな補助金?(制度概要)
石川県起業促進補助金は、正式名称を「起業促進補助金(令和6年能登半島地震及び奥能登豪雨)」といい、令和6年(2024年)に発生した能登半島地震及び奥能登豪雨により被災したエリアで、新たに起業する方や、第二創業・第三者承継によって事業を引き継ぐ方を支援する石川県の制度です。
対象地域は石川県全域ではなく、能登3市3町(七尾市・輪島市・珠洲市・志賀町・穴水町・能登町)に限られる点に注意が必要です。廃業の増加が懸念されるこのエリアで、域外からの参入も含めた新たな事業者を呼び込み、災害に起因する地域課題の解決につなげることが制度の目的とされています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 起業促進補助金(令和6年能登半島地震及び奥能登豪雨) |
| 実施機関 | 石川県(商工労働部経営支援課) |
| 対象地域 | 能登3市3町(七尾市・輪島市・珠洲市・志賀町・穴水町・能登町) |
| 補助上限額 | 300万円 |
| 補助率 | 2/3以内(新たに起業する場合)、1/2以内(第二創業・第三者承継の場合) |
| 申請受付期間 | 2026年4月1日〜2026年12月4日(5次〜9次受付、締切ごとに審査) |
対象となる「起業等」の類型
この補助金でいう「起業等」には、まったく新しく事業を始めるケースだけでなく、事業承継や多店舗展開も含まれます。次の5つのいずれかに該当することが要件です。
新規開業(個人事業)
事業を営んでいない個人が、開業届を提出して新たに事業を始める場合です。
新規法人設立
事業を営んでいない個人が、新たに法人を設立して事業を始める場合です。
第三者承継
個人または法人の事業を、別の第三者にあたる個人・法人が引き継いで事業を継続する場合です。親族や従業員が引き継ぐ場合は対象外となります。
新分野への進出(第二創業)
現に事業を営んでいる個人・法人が、これまでとは異なる新たな事業を始める場合です。
多店舗展開
現に事業を営んでいる個人・法人が、同一の事業を能登3市3町内で拡大する場合です。
補助上限額・補助率
| 区分 | 補助率 | 補助上限額 |
|---|---|---|
| 新たに起業する場合(新規開業・新規法人設立) | 2/3以内 | 300万円 |
| 第二創業・第三者承継の場合 | 1/2以内 | 300万円 |
- •補助上限額は千円未満切り捨てで算定されます。
- •経費区分のうち機械装置費(パソコンや複合機等)は単独では申請できず、施設等整備費または車両購入費と合わせて申請する必要があります。
- •機械装置費として申請できる額は、総事業費の1/2以下かつ30万円以下です。補助額の上限は10万円で、申請できる台数は1者につき1台までとされています。
※補助上限・補助率・対象経費は公募回により変わります。申請前に最新の公募要領(各実施機関の公式情報)を必ずご確認ください。(本ページ最終確認: 2026-07)
対象となる事業者・要件
補助対象者となるには、次の要件をすべて満たす必要があります。
- •能登3市3町(七尾市・輪島市・珠洲市・志賀町・穴水町・能登町)で、前段の「起業等」のいずれかを行う事業者であること
- •令和6年1月1日以降、かつ実績報告書の提出日までに、開業届の提出または法人の設立を行い、その代表者となること
- •中小企業者(小規模事業者を含む。設立予定の場合も対象)であること
- •能登3市3町に事業所等を設置し、設置後5年以上事業を継続する見込みがあること
- •実績報告書の提出日までに、地元の商工会または商工会議所に加盟し、継続的に経営指導を受けること
- •災害に起因する地域課題の解決に資する内容の事業計画書を策定していること
- −医師、歯科医師、助産師
- −系統出荷による収入のみの個人農業者(林業・水産業を含む)
- −協同組合等の組合(企業組合・協業組合を除く)
- −医療法人、宗教法人、学校法人、農事組合法人、社会福祉法人
- −任意団体
- −発行済株式や役員構成から中小企業とみなされない、いわゆる「みなし大企業」
- −国や地方公共団体等の補助金で不正受給歴がある事業者、法人税等を滞納している事業者
- −風俗営業等・性風俗関連特殊営業を営む事業者(予定を含む)、暴力団関係者
補助対象経費
- •施設等整備費:起業等に必要な店舗等の建築・購入・修繕にかかる経費(新築、中古物件の購入、修繕・改築、内装工事、コンテナや倉庫の設置などを含みます)
- •車両購入費:キッチンカーや移動販売車など、店舗として機能する車両の購入費(内装・改造工事の費用を含みます。一般車両や営業車は対象外です)
- •機械装置費:起業等に必要なパソコン、複合機、タブレット端末などの購入費(施設等整備費または車両購入費と合わせて申請する場合のみ対象です)
- −土地の購入費
- −住居用の建築物など、事業用途以外の施設整備
- −賃貸物件の賃借料、コンテナや倉庫のレンタル料
- −一般車両(営業車等)の購入費
- −消耗品・事務用品、ソフトウェア(新規購入・更新料とも)
- −税理士・公認会計士・弁護士への支払い、振込手数料、保証料・保険料、借入金の利息
- −役員報酬、直接人件費、謝金、アルバイト代などの雑役務費
受付スケジュール
| 受付回 | 締切日 |
|---|---|
| 申請受付開始 | 2026年4月1日 |
| 5次受付締切 | 2026年4月17日 |
| 6次受付締切 | 2026年6月30日 |
| 7次受付締切 | 2026年8月31日 |
| 8次受付締切 | 2026年10月30日 |
| 9次受付締切(最終) | 2026年12月4日 |
申請は締切ごとに受け付けて審査を行う方式です。締切日は郵送の場合、当日消印有効です。同一の個人・事業者からの応募は1件に限られ、複数応募が判明した場合はすべて不採択となります(採択後に判明した場合は遡って取り消されます)。2026年7月時点の直近の締切は7次受付(2026年8月31日)で、以降8次・9次と続きます。
申請の流れ
書類の準備
交付申請書、事業計画書、暴力団排除に関する誓約事項・役員等名簿、開業届や履歴事項全部証明書(開業・法人設立済みの場合)、見積書、通帳のコピーなどを用意します。
郵送で提出
石川県商工労働部経営支援課 起業促進補助金事務局宛てに、締切日までに必要書類一式を郵送します(締切日当日消印有効)。
審査(非公開・書類審査)
締切ごとに書類審査が行われます。ヒアリングは実施されないため、提出書類に不備がないことが重要です。
採択・交付決定の通知
採択または不採択の結果が応募事業者全員に通知されます。採択された場合は交付決定を受けて事業を開始します。
事業の実施
交付決定日以降に発注・契約を行い、施設整備や車両・機械装置の購入などを実施します。支払いは原則として銀行振込で行う必要があります。
実績報告書の提出
事業完了日から1か月以内、または定められた期限のいずれか早い日までに、実績報告書や証拠書類、商工会・商工会議所への加盟証明などを提出します。
補助金額の確定と精算払
提出書類の審査を経て補助金額が確定し、請求書の内容に従って補助金が支払われます。この補助金は精算払(後払い)のみで、事業実施前の受給はできません。
申請前に押さえたいポイント
事業計画書で「地域課題の解決」を具体的に示す
採択審査はヒアリングのない書類審査です。能登半島地震・奥能登豪雨後の地域課題に対して、自分の起業等がどう貢献するのかを事業計画書の中で具体的に説明できるかが重要になります。
商工会・商工会議所への加盟を早めに準備する
実績報告書の提出日までに地元の商工会・商工会議所へ加盟し、継続的に経営指導を受けることが要件です。加盟手続きには時間がかかる場合もあるため、早めに相談しておくと安心です。
経費の証拠書類をあらかじめ揃えておく
見積書、発注書・契約書、納品書、請求書、振込受領書など、支払方法別に必要な証拠書類が細かく定められています。交付決定後に慌てないよう、経理の区分管理を事前に準備しておくことをおすすめします。
5年以上の事業継続を前提に計画する
能登3市3町に事業所等を設置してから5年以上事業を継続することが要件です。資金繰り悪化などの事業者都合で5年以内に廃業した場合、補助金の返還を求められることがあります。
注意点
- •申請は郵送のみで、締切日当日消印有効です。締切を過ぎた場合、その回の審査は受けられません。
- •補助対象経費は原則として交付決定日以降に発生したものに限られます。ただし今回の公募では特例として、令和6年1月1日の能登半島地震及び令和6年9月21日から23日の奥能登豪雨により被災した日以降に実施した事業の経費を遡って対象と認める取扱いがあります。詳細は公募要領でご確認ください。
- •同一の個人・事業者からの応募は1件のみです。複数応募が判明した場合はすべて不採択となり、採択後の判明であっても遡って取り消されます。
- •補助金は精算払(後払い)のみです。事業を実施し、実績報告書の提出・審査を経て額が確定した後に支払われます。
- •不動産や単価50万円(税抜)以上の施設整備・車両・機械装置は「処分制限財産」に該当し、補助事業終了後も一定期間、処分(譲渡・廃棄等)には石川県への承認申請が必要です。
- •本記事は2026年7月時点で確認できた公募要領(起業促進補助金(令和6年能登半島地震及び奥能登豪雨)令和8年度公募分)に基づきます。制度の詳細や最新の受付状況は、必ず石川県の公式ページ・公募要領でご確認ください。
よくある質問
Q石川県内であれば能登以外の地域でも申請できますか。
いいえ。対象は能登3市3町(七尾市・輪島市・珠洲市・志賀町・穴水町・能登町)に事業所等を設置する事業者に限られます。対象地域に該当するか迷う場合は、事務局への確認をおすすめします。
Q個人事業主でも申請できますか。
はい。個人事業主(商工業者であること)も対象です。ただし医師・歯科医師・助産師や、系統出荷による収入のみの個人農業者などは対象外とされています。
Qすでに能登で事業をしている場合でも対象になりますか。
現に事業を営んでいる方でも、これまでと異なる新たな事業を始める場合(第二創業)や、同一事業を能登3市3町内で多店舗展開する場合は対象となり得ます。該当するかどうか迷うケースは、事務局への確認をおすすめします。
Q交付決定前に発生した経費も対象になりますか。
原則として交付決定日以降に発生した経費が対象です。ただし今回の公募では特例として、令和6年1月1日の能登半島地震及び同年9月21日から23日の奥能登豪雨により被災した日以降に実施した事業の経費について、遡って対象と認める取扱いがあります。適用の可否は公募要領で確認するか、事務局にお問い合わせください。
Q補助金はいつ受け取れますか。
この補助金は精算払(後払い)のみです。事業を実施したうえで実績報告書を提出し、内容が認められて額が確定した後に支払われます。事業実施前に補助金を受け取ることはできません。
Q他の補助金と併用できますか。
国や市町等の他制度との併用は可能とされています。ただし対象経費が重複する場合は、他制度の補助額と本補助金の合計額が補助対象経費額を超えないことが前提です。詳しくは各制度の実施機関にご確認ください。
Q自分で申請するか、専門家に依頼するか迷っています。
事業計画書の作成や証拠書類の整備など、申請から実績報告までに必要な書類は多岐にわたります。特に事業計画書は「災害に起因する地域課題の解決に資する内容」が求められるため、行政書士に相談しながら進める事業者様も少なくありません。
公式情報(一次情報)
本記事は上記の公式情報をもとに作成しています。申請にあたっては必ず最新の公募要領をご確認ください。