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いしかわ理系人材確保奨学金とは?

「理系の新卒採用を強化したい」「奨学金返済の不安を抱える学生に選ばれる会社にしたい」——石川県のこの制度は、県と企業が協力して大学院・大学・高等専門学校を卒業した人材の奨学金返還を最大200万円まで支援するものです。採用競争力の向上と人材定着を同時に図りたい石川県内の企業向けに、制度の仕組みと申請の流れを、石川県内に事務所を構える行政書士法人がわかりやすく解説します。

最終更新日: 2026.09.08|監修: 行政書士法人クロノス(代表社員 黒川光智)代表プロフィールを見る

どんな制度?(制度概要)

いしかわ理系人材確保奨学金返還助成制度は、石川県が運営主体となり、いしかわ就職・定住総合サポートセンター(ジョブカフェ石川)が窓口となって実施する奨学金返還支援の制度です。県内企業に就職した大学院・大学・高等専門学校の卒業生が対象企業に3年以上勤続した場合に、その時点での奨学金返還残額(千円未満切り捨て)を上限として、最大200万円を助成します。助成金は企業が本人に直接払うのではなく、機構(ジョブカフェ石川)が本人に代わり直接奨学金の貸与機関に返還する仕組みです。

企業にとっての最大のメリットは採用競争力の向上です。奨学金の返還支援を「福利厚生」として学生に訴求することで、給与水準だけでは差がつけにくい採用市場において差別化を図れる可能性があります。また、企業と学生がともに事前登録を行ったうえで就職活動を進める仕組みのため、制度を知った学生が「対象企業」を優先的に検討するという流れが生まれることも期待できます。

項目内容
正式名称いしかわ理系人材確保奨学金返還助成制度(令和8年度は「いしかわ就職応援奨学金返還助成制度」として実施)
実施主体石川県 / いしかわ就職・定住総合サポートセンター(ジョブカフェ石川)
対象者大学院・大学・高等専門学校に在学中で、日本学生支援機構または石川県育英資金の奨学金を受給している学生
助成上限額最大200万円(3年勤続時点の奨学金返還残額と企業設定額の低い方)
費用負担助成額の1/2を企業が県の基金に寄附。残りの1/2を県が負担
交付方法ジョブカフェ石川が本人に代わり奨学金貸与機関に直接返還
受付随時募集(申込後、順次審査・登録決定)

制度の名称変更について(令和8年度)

本制度はもともと「いしかわ理系人材確保奨学金返還助成制度」として令和5年度から令和7年度にかけて実施されました。令和8年度(2026年度)からは「いしかわ就職応援奨学金返還助成制度」に名称が変更され、対象となる学生の学部・専攻の制限が撤廃されました(理系限定から全学部・全専攻に拡充)。助成上限の200万円や企業と県の50:50負担といった基本的な仕組みは継続されています。

比較項目旧制度(〜令和7年度)現行制度(令和8年度〜)
制度名いしかわ理系人材確保奨学金返還助成制度いしかわ就職応援奨学金返還助成制度
対象学部・専攻理系に限定全学部・全専攻(制限なし)
助成上限額最大200万円最大200万円
企業負担割合助成額の1/2を県基金に寄附助成額の1/2を県基金に寄附
対象学校大学院・大学・高等専門学校大学院・大学・高等専門学校

石川県の公式窓口であるジョブカフェ石川では、令和8年度(28卒対象)の企業登録および学生登録を随時受け付けています。すでに旧制度(理系人材確保)で登録済みの企業は、現行制度での登録状況を窓口に確認することをおすすめします。

助成の仕組みと企業の負担

この制度における「最大200万円の助成」は、県と企業が共同で負担する仕組みです。企業が単独で200万円を支払うわけではなく、助成額の2分の1に相当する金額を石川県が設置する基金に寄附することで成り立ちます。たとえば助成額が200万円であれば、企業の実質負担は100万円(基金への寄附)です。

助成額の決まり方

助成額は「3年勤続時点の奨学金返還残額(千円未満切り捨て)」と「各企業が独自に設定する助成額」のいずれか低い額が適用されます。企業が設定できる助成額の上限は最大200万円です。学生が奨学金を早期に返済しているなどの理由で返還残額が少ない場合は、助成額も少なくなります。

企業が基金に寄附するタイミング

企業の寄附(助成額の1/2)は、助成金の交付後に行うものです。先払いの費用ではなく、助成が確定した段階で寄附義務が発生します。詳細なタイミングや手続きはジョブカフェ石川の事務局にご確認ください。

代理返還制度との関係

日本学生支援機構の「代理返還制度」を活用している場合は、本制度との併用が可能と案内されています。代理返還制度は企業が学生に代わって奨学金を直接返還する仕組みで、学生の所得税上の優遇がある場合があります。詳細は日本学生支援機構または税理士にご確認ください。

対象となる企業の要件

対象企業として登録を受けるためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 石川県内に事業所を有すること
  • 大学生等(大学院・大学・高等専門学校の卒業見込み者)の採用を予定していること
  • 法令等に違反していないこと
  • 登録申請時に誓約書および企業概要書類を提出できること
  • 業種や資本金・従業員規模による制限は公式資料に明記されていません(自社が対象になるか不明な場合は事務局へ確認することをおすすめします)

対象企業への登録が承認されると、ジョブカフェ石川の公式サイト上の「対象企業一覧」に掲載されます。学生は企業一覧を参考にして就職先を選ぶため、掲載されること自体が採用PRの一環となります。

対象となる学生の要件

企業が採用する学生側にも、制度の利用資格があります。採用後に「この学生が助成対象になるか」を判断するうえで、企業担当者が把握しておくべき要件は以下のとおりです。

  • 大学院・大学・高等専門学校に在学中であること(卒業後は申請不可)
  • 日本学生支援機構の奨学金または石川県育英資金の貸与を現に受けていること
  • 対象企業から内定を受けていない状態で認定申請を行うこと(内定前に事前登録が必要)

令和8年度(現行制度)では学部・専攻の制限がなく、文系・理系を問わず対象となります。学生が「助成対象者認定」を受けていることを面接時に企業に申告できる仕組みのため、採用活動の中で本制度の存在を学生に周知しておくことが重要です。

助成が交付されるための条件(勤続要件)

対象企業への就職後、以下の条件をすべて満たした時点で助成金の交付申請が可能になります。企業にとっては「採用した人材が3年以上定着すること」が助成実現の条件です。

  • 対象企業に正社員として3年以上継続して就業していること
  • 勤務地が石川県内であること(一時的に県外勤務となる場合は通算2年以上の県内勤務)
  • 日本学生支援機構または石川県育英資金に奨学金を返還していること(滞納がないこと)

3年の勤続期間は採用した学生側の定着率向上のインセンティブとして機能します。企業としては、入社後の育成・定着支援とセットで制度を活用することが効果的と考えられます。

申請の流れ(企業向け)

1

制度内容の確認・社内での活用方針の検討

まず制度の概要と企業要件を確認し、採用活動でどのように活用するかを社内で検討します。採用広報での訴求方法や、助成額の設定方針(上限額や対象者の絞り込み方等)を決めておくとスムーズです。

2

企業登録の申請

ジョブカフェ石川の公式ページ(企業向け)から、GoogleフォームまたはExcel様式で登録を申請します。誓約書および企業概要書類の提出が必要です。

3

審査・登録決定

ジョブカフェ石川が申請内容を審査し、結果をメールで通知します。登録が決定すると対象企業一覧に掲載されます。

4

採用活動での訴求・学生への制度周知

対象企業として登録後、採用活動において制度を学生にアピールします。学生側は内定前に「助成対象者認定」申請を行う必要があるため、早めに制度の存在を伝えることが重要です。

5

内定後の報告

対象学生から内定報告の連絡を受けた後、内定通知書等の必要書類をジョブカフェ石川に提出します。

6

就職・在職証明書の提出

採用した学生が就職後1か月以内に在職証明書を提出します。この時点から3年間の勤続実績を積むことになります。

7

3年勤続後に助成金交付申請

就職から3年が経過した後、助成金の交付申請を行います。ジョブカフェ石川が審査のうえ、企業ではなく本人(または貸与機関)に直接返還金を交付します。企業は助成額の1/2に相当する金額を県の基金に寄附します。

申請前に押さえておきたいポイント

学生が内定前に事前登録(認定申請)を行う必要がある

助成の対象となるには、学生側が「対象企業からの内定を受けていない状態」でジョブカフェ石川に認定申請を行うことが条件です。内定後の申請では対象にならないため、企業は採用活動の早い段階で学生に制度を伝え、事前登録を促すことが重要です。自社の採用フロー(合説・学内説明会・Webサイトなど)での周知が効果的です。

企業が設定できる助成額の上限は企業側が決める

企業は助成額として最大200万円を設定できますが、設定額が低ければ学生への訴求力も低下します。他社の登録企業一覧を参考にしながら、自社の採用戦略に合わせた金額設定を検討することをおすすめします。助成額の設定は登録申請時に行うため、事前に検討しておくと手続きがスムーズです。

採用の即効性はなく、中長期の人材戦略として位置づけることが重要

この制度は、助成金が実際に交付されるまでに就職から3年かかります。短期的な採用コスト削減ではなく、学生に選ばれる企業ブランドの構築と3年以上の人材定着を目指した中長期の投資として捉えることが適切です。

随時受付のため申請のタイミングに急ぎは不要だが、早期登録が採用に有利

企業登録の受付は随時行われているため、申請に特定の締切はありません。ただし、対象企業一覧への掲載が早いほど、就職活動中の学生の目に触れやすくなります。採用シーズンに向けた準備として、できるだけ早めの登録をおすすめします。

注意点

  • 本記事は2026年9月時点のジョブカフェ石川公式ページ(野々市市産業振興課ページからのリンク先を含む)に基づきます。最新情報は必ずジョブカフェ石川(https://www.jobcafe-ishikawa.jp/)の公式ページでご確認ください。
  • 本制度はもともと「いしかわ理系人材確保奨学金返還助成制度」(令和5〜7年度)として実施されていましたが、令和8年度(2026年度)からは「いしかわ就職応援奨学金返還助成制度」に名称が変更・拡充されています。対象学部・専攻の制限が撤廃され、文理を問わず全学部が対象となっています。
  • 助成額は「3年勤続時点の奨学金返還残額(千円未満切り捨て)」と「企業が設定する助成額」のいずれか低い額が適用されます。最大200万円はあくまで上限であり、実際の助成額は個々の状況によって異なります。
  • 企業は助成額の1/2にあたる金額を石川県の基金に寄附する必要があります。寄附のタイミングや手続きの詳細は、ジョブカフェ石川の事務局(TEL: 076-235-4535)にご確認ください。
  • 助成が交付されるためには、採用した学生が正社員として3年以上継続勤務し、かつ奨学金の返還を行っていることが条件です。途中退職等により条件を満たせない場合は助成が行われません。
  • 制度の詳細要件や最新の対象企業一覧は制度の実施状況により変わる場合があります。申請前に必ずジョブカフェ石川の公式ページまたは事務局にご確認ください。

よくある質問

Qこの制度を利用するために企業はいくら費用を負担しますか。

企業の直接負担は、助成額の1/2に相当する金額を石川県の基金に寄附することです。たとえば助成額が200万円であれば企業の寄附額は100万円、100万円であれば50万円です。なお、助成金の支払い自体は企業からではなく、ジョブカフェ石川から奨学金の貸与機関に直接行われます。

Q理系学部の学生しか対象になりませんか。

令和8年度(現行制度)では、学部・専攻による制限は設けられていません。大学院・大学・高等専門学校に在学中で、日本学生支援機構または石川県育英資金の奨学金を受給していることが主な要件であり、文系・理系を問わず対象となり得ます。なお、旧制度(令和5〜7年度の「いしかわ理系人材確保奨学金返還助成制度」)は理系限定でした。

Q採用した学生が3年以内に退職した場合、助成はどうなりますか。

助成金の交付要件のひとつが「3年以上の継続勤務」です。就職から3年が経過する前に退職した場合は助成の対象外となります。また、勤務地が石川県外に移った場合は通算2年以上の県内勤務が求められるため、配置転換等を検討する際にも注意が必要です。詳細は事務局にご確認ください。

Qすでに内定を出した学生にもこの制度は使えますか。

学生側の制度利用要件として「対象企業からの内定を受けていない状態での認定申請」が条件となっています。内定後に学生が申請した場合は対象にならないとされているため、採用活動の早期に学生へ制度を周知し、内定前の事前登録を促すことが重要です。すでに内定を出した学生への対応については、事務局([email protected])に直接ご確認ください。

Q石川県内に事業所があれば本社が県外でも申請できますか。

対象企業の要件として「石川県内に事業所を有すること」が明記されており、本社の所在地についての制限は公式資料に記載がありません。石川県内に支社・営業所等を有する県外本社企業でも対象となり得ると解されますが、確定的な判断はジョブカフェ石川の事務局(TEL: 076-235-4535)への確認をおすすめします。

Q採用が理系でなくても企業登録できますか(令和8年度)。

現行の「いしかわ就職応援奨学金返還助成制度」(令和8年度)では対象学生の学部・専攻の制限がなくなっています。理系以外の採用を行う企業でも企業登録が可能とみられますが、自社の採用計画と制度要件が合致するかをジョブカフェ石川の事務局で事前に確認することをおすすめします。

Q他の補助金や助成金と併用できますか。

公式資料には他の助成金との併用を一律に禁止する記述は見当たりません。ただし、雇用関連の各種助成金(雇用調整助成金・キャリアアップ助成金等)にはそれぞれ固有の要件があるため、個別の制度との組み合わせについては各制度の実施機関か、専門家にご相談ください。

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