中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業)とは?
「自社の技術やブランドを海外でも守りたい」「外国出願の費用が高くて踏み出せない」——そんな徳島県内の中小企業者を対象に、外国への特許・商標等の出願費用を最大300万円まで補助する制度です。制度の仕組みと申請の流れを行政書士がわかりやすく解説します。
最終更新日: 2026.10.16|監修: 行政書士法人クロノス(代表社員 黒川光智)代表プロフィールを見る
どんな補助金?(制度概要)
中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業)は、公益財団法人とくしま産業振興機構が徳島県の補助を受けて実施する間接補助制度です。徳島県内の中小企業者等が、自社の特許・実用新案・意匠・商標を外国の特許庁等へ出願する際にかかる費用の一部を補助します。海外展開を計画している企業が知的財産を戦略的に保護し、海外市場に進出しやすくすることを目的としています。
補助対象となる出願の種類は、特許出願・実用新案登録出願・意匠登録出願・商標登録出願(PCT国際出願・ハーグ出願・マドリッド出願を含む)と、海外での商標の無断先取り(抜け駆け商標)に備えた商標登録出願(抜け駆け対策商標)の5種類です。国の補助事業(中小企業等海外展開支援事業費補助金)を活用した都道府県ごとの間接補助事業として全国で実施されており、徳島県では公益財団法人とくしま産業振興機構が窓口となっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 内容:中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業) |
| 実施機関 | 内容:公益財団法人とくしま産業振興機構(徳島県の補助を受けて実施) |
| 対象地域 | 内容:徳島県内に事業所を有する中小企業者等 |
| 補助率 | 内容:助成対象経費の2分の1以内 |
| 企業全体の上限額 | 内容:1会計年度につき300万円(複数出願の合計) |
| 1出願ごとの上限額 | 内容:特許:150万円、実用新案・意匠・商標:各60万円、抜け駆け対策商標:30万円 |
| 申請受付期間 | 内容:令和8年6月1日(月)〜令和8年12月18日(金)午後5時まで |
| 問い合わせ先 | 内容:公益財団法人とくしま産業振興機構 経営支援部(TEL:088-654-0103) |
補助上限額・補助率
補助率は助成対象経費の2分の1以内で、1企業あたりの年間上限額は300万円です。複数の出願を同時に申請することもでき、その場合も合算して300万円が上限となります。出願の種類ごとに1出願あたりの上限額が設定されています。
| 出願の種類 | 1出願あたりの上限額 | 1企業・年間の上限額 |
|---|---|---|
| 特許出願 | 150万円 | 300万円(複数出願の合計) |
| 実用新案登録出願 | 60万円 | 300万円(複数出願の合計) |
| 意匠登録出願 | 60万円 | 300万円(複数出願の合計) |
| 商標登録出願 | 60万円 | 300万円(複数出願の合計) |
| 抜け駆け対策商標 | 30万円 | 300万円(複数出願の合計) |
たとえば、特許出願1件(上限150万円)と商標出願2件(上限60万円×2)を同時に申請した場合、合計の企業年間上限300万円の範囲内で補助を受けられます。なお、補助金額は審査結果等により申請額を減額して交付決定することがある点に注意が必要です。
※補助上限・補助率・対象経費は公募回により変わります。申請前に最新の公募要領(各実施機関の公式情報)を必ずご確認ください。(本ページ最終確認: 2026-10)
対象となる事業者・要件
この補助金を申請するには、次の要件を満たす必要があります。
- •徳島県内に事業所を有する中小企業者等(中小企業支援法第2条第1項第1号から第3号に規定する中小企業者、またはそれらが3分の2以上を占めるグループ)であること
- •申請時点ですでに日本国特許庁に対して出願済みであり、その出願を基礎として優先権を主張して外国出願を年度内に行う予定であること(商標出願は優先権主張なしの外国出願も可。ただし抜け駆け対策商標については、国内出願が未済でも一定の要件のもとで申請できる場合があります。詳細は事務局にご確認ください)
- •外国出願と基礎となる国内出願の出願人名義が同一であること(抜け駆け対策商標で国内出願なしの場合は除く)
- •外国出願業務を依頼する国内弁理士等の協力が得られること(または自ら現地代理人に直接依頼できること)
- •補助事業完了後5年間の状況調査(フォローアップ調査・ヒアリング等)に積極的に協力できること
- •外国での権利取得の可能性が先行技術調査等の結果から明らかに否定されないこと
- •外国で権利が成立した場合等に当該権利を活用した事業展開を計画していること、または外国における抜け駆け商標出願対策の意思を有していること
- •外国出願に必要な資金能力および資金計画を有していること
地域団体商標(商標法第7条の2に規定する商標)に係る外国商標出願については、事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合、商工会、商工会議所、NPO法人も申請対象となります。
次に該当する「みなし大企業」は対象外です。
- −発行済株式の総数または出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業者等
- −発行済株式の総数または出資価格の総額の3分の2以上を複数の大企業が所有している中小企業者等
- −大企業の役員または職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者等
- −資本金または出資の総額が5億円以上の法人に直接または間接に100%の株式を保有される中小企業者等
- −直近過去3年分の各年または各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業者等
上記の「みなし大企業」に該当しない場合でも、過去に本事業で補助を受けた企業で経済産業省・特許庁のフォローアップ調査を未提出の企業は選定対象外となります。
補助対象経費
補助の対象となる経費は、外国特許庁等への出願に直接かかる次の費用です。
- •外国特許庁への出願手数料:外国の特許庁への出願に要する経費
- •現地代理人費用:外国特許庁に出願するための現地代理人(外国の弁理士等)に要する経費
- •国内代理人費用:外国特許庁に出願するための国内の代理人(弁理士等)に要する経費
- •翻訳費用:外国特許庁に出願するための翻訳に要する経費
- •その他機構が必要と認める費用
次の費用は補助対象経費に含まれません。
- −交付決定前に外国出願した案件、および交付決定通知を受ける前に発生した費用
- −日本国特許庁の収入となる手数料(特許協力条約に基づく国際出願等の日本国特許庁分を含む)
- −日本国内における消費税および地方消費税
- −共同出願の場合、補助対象事業者以外の者が負担した持ち分相当分
スケジュール
令和8年度の申請受付は2026年6月1日から2026年12月18日午後5時までです。予算がなくなり次第終了するため、早めの申請が推奨されます。交付決定後に外国出願を実施し、出願後に実績報告書を提出する流れです。
| 手続き・イベント | 時期 |
|---|---|
| 申請受付開始 | 時期:令和8年6月1日(月) |
| 申請受付締切 | 時期:令和8年12月18日(金)午後5時(予算終了次第締切) |
| 交付決定通知 | 時期:審査後に文書で通知(選考委員会による審査) |
| 外国出願の実施 | 時期:交付決定後〜実績報告提出期限(令和9年2月26日)より前(出願を完了してから報告書を提出する必要があるため) |
| 実績報告書の提出期限 | 時期:令和9年2月26日(金)午後5時(この期限に間に合うよう外国出願を完了させる必要があります) |
| 全会計処理の完了期限 | 時期:令和9年3月31日 |
| 補助金の支払い | 時期:精算払請求書の提出後 |
申請の流れ
事前確認・相談
申請前に自社の出願が対象要件を満たすかどうかを確認します。公益財団法人とくしま産業振興機構 経営支援部(TEL:088-654-0103)へ事前に相談することを推奨します。なお、GビズIDを取得してjGrantsから電子申請する場合は、GビズIDの取得に2〜3週間かかるため早めに準備が必要です。
交付申請書の準備
様式第1-1(特許・実用新案・意匠・商標用)または様式第1-2(抜け駆け対策商標用)の交付申請書に必要事項を記入し、必要書類を準備します。書類は原本1部・コピー7部の合計8部が必要です。賃上げ加点を希望する場合は様式第9「従業員への賃金引上げ計画の表明書」も追加します。
交付申請書の提出
必要書類一式(8部)を持参または郵送でとくしま産業振興機構へ提出します。jGrantsから電子申請する場合も、交付申請書等の紙書類は必ず別途提出してください(jGrantsへの入力だけでは申請受付となりません)。
選考委員会による審査
とくしま産業振興機構に設置された選考委員会が申請書類を審査します。審査基準は、外国での権利取得の可能性、事業展開計画の合理性、資金計画の妥当性等です。賃上げ実施企業やワーク・ライフ・バランス推進企業は加点されます。
採択・交付決定通知の受領
審査結果は文書で通知されます。採択された場合、企業名・所在地・出願種別が公表されます。交付決定通知を受領してから外国出願の手続きを開始してください。交付決定前の外国出願は補助対象外です。
外国出願の実施
交付決定通知の受領後、実績報告書の提出期限(令和9年2月26日午後5時)より前に、弁理士等を通じて外国の特許庁等へ出願します。出願を完了してから実績報告書に領収書等を添えて提出する必要があるため、出願のタイミングは余裕をもって計画してください。出願手続きに要する費用(出願手数料・翻訳費用・代理人費用等)が補助対象となります。
実績報告書の提出
出願完了後、実績報告書に領収書等の証拠書類を添付して提出します。提出期限は令和9年2月26日(金)午後5時です。
補助金の受領
とくしま産業振興機構が実績報告書を確認・精算した後、精算払請求書を提出します。審査・確定の後、補助金が交付されます。なお、補助事業完了後5年間のフォローアップ調査(ヒアリング等)に協力することが求められます。
申請前に押さえておきたいポイント
交付決定前の外国出願は補助対象外
補助対象となるのは、交付決定通知を受けてから実施した外国出願の費用に限られます。申請前・審査中に外国出願を行ってしまうと、その費用は補助対象外となります。出願のスケジュール管理には十分注意してください。
jGrantsだけでは申請完了にならない
補助金電子申請システム(jGrants)からの電子申請も受け付けていますが、jGrantsへの入力だけでは申請受付となりません。交付申請書を含む添付書類は必ず紙で8部(原本1部・コピー7部)を持参または郵送で提出する必要があります。また、jGrantsを利用するにはGビズIDが必要で、取得には2〜3週間かかるため早めの準備が必要です。
賃上げ・WLB推進企業は審査で加点
申請後の1事業年度または1年間で給与総額または一人当たりの平均受給額を2.5%以上増加させる計画がある賃上げ実施企業は、審査において加点されます。また、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)・次世代育成支援対策推進法・青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)の認定を受けている企業等もワーク・ライフ・バランス推進企業として加点対象です。ただし、採択後に実際の賃上げが確認できなかった場合は補助金の交付決定取消しや返還となる可能性があります。
申請書作成は専門家への相談も選択肢
補助金申請書類の準備や要件確認に不安がある場合は、行政書士等の専門家へ相談することも選択肢のひとつです。外国出願の手続き自体は弁理士が担い、補助金申請書類のサポートは行政書士が担当できます。利用を検討される場合は事前にご確認ください。
注意点
- •補助金は「後払い」方式です。交付決定後に外国出願を実施し、費用を支出した後に実績報告書を提出し、精算払請求書の提出を経て補助金が交付されます。先に自己資金で費用を立て替える必要があります。
- •交付決定前に外国出願した案件および交付決定通知を受ける前に発生した費用は補助対象外です。交付決定通知を受け取るまで出願を開始しないようご注意ください。
- •申請受付は予算がなくなり次第終了します。締切日(12月18日)を待たずに受付が終了する可能性があるため、準備ができ次第早めに申請することをおすすめします。
- •補助事業完了後5年間のフォローアップ調査(ヒアリング等)への協力が求められます。また、過去に本事業で補助を受けた企業でフォローアップ調査を未提出の場合は選定対象外となります。
- •賃上げ加点の適用を希望する場合、採択後に賃上げ実績が確認できなかった場合は交付決定の取消しや補助金返還となる可能性があります。申請前に実現可能な計画かどうかを慎重に検討してください。
- •本記事は令和8年(2026年)6月1日付の令和8年度徳島県海外出願支援事業公募要領に基づきます。制度の詳細や最新情報は必ず公益財団法人とくしま産業振興機構の公式サイトでご確認ください。
よくある質問
Q中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業)はどのような出願が対象ですか?
特許出願・実用新案登録出願・意匠登録出願・商標登録出願(PCT国際出願・ハーグ出願・マドリッド出願を含む)および抜け駆け対策商標の外国出願が対象です。PCT国際出願については公募要領に一定の条件が設けられています。詳細は公益財団法人とくしま産業振興機構(TEL:088-654-0103)にご確認ください。なお、抜け駆け対策商標は国内出願なしでも一定の要件のもと申請できる場合があります。
Q国の外国出願補助金(特許庁)との違いは何ですか?
国(特許庁)が実施する「中小企業等海外展開支援事業費補助金」の一環として、各都道府県の実施機関が間接補助として行う事業です。徳島県では公益財団法人とくしま産業振興機構が窓口となっています。申請先・審査主体はとくしま産業振興機構になりますが、制度の骨格(補助率・上限額等)は国の要綱に基づいています。
Q他の補助金や助成金と併用できますか?
他制度との併用可否については、補助する経費の重複がないかどうかが判断基準となります。同一の外国出願費用に対して複数の補助・助成を受けることはできませんが、別の経費を対象とする別の補助金との組み合わせについては事務局への確認をおすすめします。なお、本事業は国の補助事業を活用した間接補助のため、国の他の補助金との関係については制度設計上の制約がある場合があります。
Q採択後、外国出願が不成立(拒絶査定)になった場合、補助金は返還しなければなりませんか?
補助の対象は「外国出願に要した費用」そのものであり、権利取得の成否は補助要件に含まれていません。外国出願を実施し、費用が発生していれば補助対象となり得ます。ただし、中間応答の必要が生じた場合は各国特許庁の定める期日までに応答する義務があり、やむを得ない理由により応答せず拒絶査定に至った場合は事情説明書等で報告することが求められています。詳細はとくしま産業振興機構へご確認ください。
Q不採択になった場合、翌年度に再申請はできますか?
翌年度以降の公募が行われた場合、その時点で要件(国内出願済み・優先権等の条件)を満たしていれば再申請できる可能性があります。ただし、不採択期間中に外国出願を実施してしまうと交付決定前出願となり対象外になる点に注意が必要です。次年度の制度内容(上限額・補助率・スケジュール等)は変更される場合があります。不採択の理由についてはとくしま産業振興機構へお問い合わせください。
Q申請書類の準備や提出のサポートを依頼できますか?
補助金申請書類の準備に不安がある場合は、行政書士等の専門家へ相談することも選択肢のひとつです。外国出願の手続き自体は弁理士が担い、補助金申請書類のサポートについては行政書士に相談できます。書類の不備リスクを減らしたい場合や、スケジュール管理をサポートしてほしい場合にご活用ください。
Q徳島県外に本社があるが、県内に支店がある場合は申請できますか?
要件は「徳島県内に事業所を有する中小企業者等」です。本社が県外でも、徳島県内に事業所(支店・営業所等)を有していれば対象となり得ます。ただし、出願人名義の要件(外国出願と国内出願で同一名義)等も合わせて満たす必要があります。個別の状況については、申請前にとくしま産業振興機構へ確認することをおすすめします。
公式情報(一次情報)
本記事は上記の公式情報をもとに作成しています。申請にあたっては必ず最新の公募要領をご確認ください。
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