多様な体験型観光推進事業補助金とは?
「外国人旅行者を受け入れたいが、言語の壁や文化への対応に不安がある」「多言語対応のシステムや施設整備の費用を少しでも抑えたい」——そんな東京都内の美容室オーナーに向けた補助金です。対象となる事業者・経費・申請の流れを、全国対応の行政書士法人がわかりやすく解説します。
最終更新日: 2026.10.20|監修: 行政書士法人クロノス(代表社員 黒川光智)代表プロフィールを見る
どんな補助金?(制度概要)
多様な体験型観光推進事業補助金は、東京都産業労働局が実施する補助制度です。東京の美容技術(ヘアカット・ネイル・メイク等)を観光コンテンツとして活用し、外国人旅行者の誘客・消費拡大を促すことを目的としています。都内の美容室等が外国人旅行者の受入体制を整備するために要する経費(多言語化・施設改修・備品購入など)を、最大200万円まで補助します。
東京を訪れる外国人旅行者数が増加する中、言語・文化・習慣の違いへの対応を課題として感じている美容室は少なくありません。本制度は、そうした受入環境の整備を費用面から後押しすることで、美容体験を新たな東京観光の魅力として発信していくことを目指しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 内容:多様な体験型観光推進事業補助金 |
| 実施機関 | 内容:東京都産業労働局観光部受入環境課 |
| 補助上限額 | 内容:200万円 |
| 補助率 | 内容:補助対象経費の3分の2(千円未満切り捨て) |
| 申請締切 | 内容:令和8年11月30日(月)必着 |
| 補助対象期間 | 内容:交付決定日から令和9年3月31日まで |
| 申請方法 | 内容:郵送(簡易書留)またはjGrants(電子申請) |
補助上限額・補助率
補助率は補助対象経費の3分の2で、補助限度額は200万円です。「補助対象経費の3分の2(千円未満切り捨て)と200万円のいずれか低い額」が交付されます。
| 補助率 | 補助上限額 | 補助対象期間 |
|---|---|---|
| 補助対象経費の3分の2 | 200万円 | 交付決定日〜令和9年3月31日 |
なお、交付決定は1事業者あたり1回限りです。また、受付期間中であっても申請額が予算額に達した時点で申請受付が終了となるため、余裕を持った申請が重要です。
※補助上限・補助率・対象経費は公募回により変わります。申請前に最新の公募要領(各実施機関の公式情報)を必ずご確認ください。(本ページ最終確認: 2026-10)
対象となる事業者・要件
補助対象者は「美容体験型観光提供事業者」です。具体的には、都内に登記簿上の本店または支店を有し、都内で美容室等を運営しながら、外国人旅行者向けの体験プログラム(美容体験型観光サービス)を提供する事業者が対象となります。個人事業主の場合は、「都内に住所を有する」ことで「都内に登記簿上の本店または支店を有する」要件に代えることができます。
- •都内に登記簿上の本店または支店を有すること(個人事業主は都内に住所を有すること)
- •都内で美容室等を運営していること
- •ヘアカット、ネイル、メイク等を観光コンテンツとして活用した外国人旅行者向けの体験プログラムを現在提供している、または申請後の補助対象期間内に提供を開始する予定の事業者であること(詳細は公募要領をご確認ください)
- •「ヘアカット、ネイル、メイク等」の「等」には、ヘアセット、染毛、洗髪、パーマ、顔そり、エクステンションが含まれます
複数のサービス(補助対象サービスと補助対象外サービス)を総合的に提供している場合も申請できることがあります。多言語化など区分けが困難な経費は全額補助対象となり得ます。サービスに関する取組に明確に区分けできる施設整備費・備品購入費は、補助対象サービスに係る部分のみが対象となります。
- −暴力団または暴力団関係者に該当する者
- −事業税その他租税に未申告または滞納がある者
- −風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)に規定する風俗営業・性風俗関連特殊営業等を行っている者
- −過去5年以内に刑事法令による罰則の適用を受けている者
- −民事再生法、会社更生法、破産法に基づく申立・手続中など、事業の継続性に不確実な状況がある者
- −宗教活動や政治活動を主たる目的とする団体等
補助対象経費
補助対象となるのは、美容体験型観光サービスの開発等に要する経費のうち、次の2つの要件をいずれも満たすものです。(1)外国人旅行者の言語や文化・習慣等に対応するために必要であること。(2)本補助金の活用等により、外国人旅行者の集客から美容体験型観光サービスの提供まで、一連の受入体制が整備されること。
| 経費区分 | 具体例 |
|---|---|
| 多言語対応に係る経費 | 具体例:予約システムの導入費、広報ツール(自社HP・チラシ等)の作成費、自動翻訳機・アプリの導入費、店内表示やメニューの多言語化費用など |
| 文化・習慣対応に係る経費 | 具体例:外国人旅行者向けのメニュー開発費、施設整備・改修費、外国人旅行者特有の事情に対応するための備品導入費(外国人の髪質に合わせた薬剤開発等も条件次第で対象) |
| 経費の種別(例示) | 具体例:機器・備品購入費、制作費、印刷製本費、翻訳費、委託費、施設整備費、改修・電気工事費、施工管理委託経費、立ち合い検査・点検費等 |
申請する際は、申請書の事業計画において「店舗内の外国人旅行者受入体制(多言語対応等)」および「外国人旅行者向けの広報」について、現状と今後の方向性を記載する必要があります。申請経費がホームページの多言語化のみであっても、これらの記載と実施が求められます。
- −補助事業に関係のない物品の購入、外注、業務委託等の経費
- −帳票類(見積書・契約書・納品書・領収書等)が不備の経費
- −リース・レンタルによる設置機器に係る経費
- −交付決定前に発注・施工または導入した設備等に要する経費
- −直接人件費、消耗品費
- −間接経費(消費税、振込手数料、通信費、水道光熱費、収入印紙代等)
- −設備設置後の維持費、中古品の購入経費、会議費、商品券等の金券類購入費
- −汎用性があり目的外使用になり得るものの購入(事務用の机・椅子・タブレット・PC・収納・ワゴン等)
- −不動産の取得・補償・賃借に係る経費
- −構築したシステム等の保守費用
- −日本語のみの広報ツール等の作成
- −単なる老朽修繕・買い替え(外国人対応を目的としないもの)
- −意匠性・快適性向上のみを目的とする内装工事
- −広告掲載料、SNS等の運用委託費、ホームページの維持管理費
- −自社とは異なるアカウントでのSNS等の投稿(制作含む)を委託する場合のインフルエンサー等への報酬
- −補助金申請の業務に係る報酬等の経費
スケジュール
| 手続き | 時期・期限 |
|---|---|
| 申請受付開始 | 時期・期限:令和8年4月1日(令和8年度公募開始) |
| 申請締切 | 時期・期限:令和8年11月30日(月)必着(予算額に達した時点で早期終了の場合あり) |
| 交付決定(目安) | 時期・期限:不備のない書類が整ってから約3週間(審査結果は公表しない) |
| 補助対象期間 | 時期・期限:交付決定日から令和9年3月31日まで(契約・作業・納品・支払いすべてが期間内に完了することが必要) |
| 実績報告書の提出 | 時期・期限:事業完了から30日以内、または令和9年3月31日のいずれか早い日まで |
| 補助金額の確定・請求 | 時期・期限:実績報告の審査・完了検査後 |
| 補助金の支払い | 時期・期限:請求書提出後、指定口座に振込 |
電子申請(jGrants)を利用する場合、「GビズIDプライムアカウント」の取得に2〜3週間程度かかります。アカウントを取得していない場合は、申請締切に余裕を持って事前にアカウントを取得しておくことをおすすめします。
申請の流れ
要件確認・事業計画の検討
自社が「美容体験型観光提供事業者」の要件を満たすか確認します。補助対象となる経費(多言語対応・施設整備等)と、申請書の事業計画に記載すべき「外国人旅行者受入体制の現状と今後の方向性」を整理します。
GビズIDプライムアカウントの取得(電子申請の場合)
jGrantsで電子申請する場合は、GビズIDプライムアカウントが必要です。取得に2〜3週間かかるため、早めに申請してください。郵送申請の場合はこの手順は不要です。
申請書類の準備
東京都産業労働局のホームページから申請様式をダウンロードし、申請書(様式第1号)・申請前確認書・事業計画書(別紙1)・誓約書(別紙2)等を作成します。見積書・会社概要等の添付書類も準備します。
申請書の提出
郵送の場合は簡易書留で、東京都庁第一本庁舎19階の産業労働局観光部受入環境課宛(〒163-8001 東京都新宿区西新宿2-8-1)に令和8年11月30日(月)必着で送付します。電子申請の場合はjGrantsの申請フォームから受付期間内に送信します。締切日時点で書類に不備がある場合は受理されないため、余裕を持って提出することが重要です。
審査・交付決定
書類不備がなければ提出から約3週間で審査結果が通知されます。適当と認められれば交付決定通知書が届きます。交付決定額は申請額と異なる場合があります。審査内容は公表されません。
事業の実施
交付決定後に契約・発注を行います。交付決定前の発注・施工・導入は補助対象外となるため注意が必要です。契約・作業・納品・経費の支払いをすべて令和9年3月31日までに完了させます。
実績報告書の提出
事業完了後、速やかに実績報告書(様式第6号)と関係書類(契約書・納品書・請求書・領収書・銀行の振込履歴等)を提出します。期限は事業完了日から30日以内または令和9年3月31日のいずれか早い日です。
補助金額の確定・請求・受領
実績報告の審査・完了検査の結果、適合と認められれば確定通知書が届きます。その後、請求書(様式第8号)を提出し、補助金が指定口座に振り込まれます。
申請前に押さえておきたいポイント
事業計画書に「外国人受入体制の現状と今後」を記載する
本制度の目的は、外国人旅行者が実際に美容サービスを体験できる環境を整備することにあります。そのため、申請経費が多言語化ツールや施設改修のみであっても、事業計画書には「店舗内の外国人旅行者受入体制(多言語対応等)」と「外国人旅行者向けの広報」について、現状と今後の方向性を具体的に記載し、実施する必要があります。この記載が不十分な場合は採択されない可能性があります。
交付決定前の発注・施工は補助対象外
補助対象となる経費は、交付決定後に契約・発注したものに限られます。申請書を提出した段階では補助が確定していないため、交付決定通知書を受け取る前に工事や機器の購入を進めてしまうと、その経費は補助対象外となります。スケジュールに十分な余裕を持って申請・計画を進めることが重要です。
予算に達し次第、受付は早期終了となる
申請期間は令和8年11月30日(月)を締切としていますが、申請額が予算額に達した時点で受付が終了します。受付終了後は次回の公募案内が出るまで申請できなくなります。対象となる可能性がある場合は、早めの準備・申請をおすすめします。
重複受給の禁止と取得財産の管理
同一事業について複数の補助金を受給することはできません。ただし、国・都道府県・区市町村の他の補助事業等と対象経費が明確に区分できる場合は除きます。また、補助事業で取得した財産(取得価格50万円以上のもの)を耐用年数以内に処分・移設する際は、事前に東京都の承認が必要です。
注意点
- •申請期間中であっても、申請額が予算額に達した時点で受付が終了します。締切前でも早期終了となる場合があるため、申請は早めに準備・提出することをおすすめします。
- •交付決定前に発注・施工・導入した設備等の経費は補助対象外です。交付決定通知書を受け取ってから契約・発注を行ってください。
- •補助対象期間は交付決定日から令和9年3月31日までです。契約・作業・納品・経費の支払いがすべてこの期間内に完了していることが必要です。
- •電子申請(jGrants)を利用する場合はGビズIDプライムアカウントの取得(2〜3週間程度)が必要です。余裕を持って事前取得してください。
- •取得財産のうち取得価格が50万円以上のものを耐用年数以内に処分・移設する場合は、事前に東京都の承認が必要です。
- •本記事は令和8年(2026年)4月1日付の募集要領およびFAQ(東京都産業労働局)に基づきます。最新の情報は必ず公式ページでご確認ください。
よくある質問
Q多様な体験型観光推進事業補助金の対象となる美容サービスはどこまでですか。
ヘアカット、ネイル、メイクに加えて、ヘアセット、染毛、洗髪、パーマ、顔そり、エクステンションが対象となります。これらのサービスを外国人旅行者向けに提供している事業者、または補助対象期間(交付決定日から令和9年3月31日まで)内に提供を開始する予定の事業者が申請できます。対象に該当するかどうか不明な場合は、東京都産業労働局観光部受入環境課(03-5320-4802)にご確認ください。
Q個人事業主の美容室でも申請できますか。
申請できます。募集要領では「都内に登記簿上の本店または支店を有する」ことが要件とされていますが、個人事業主の場合は「都内に住所を有する」ことでこの要件を満たすと読み替えられます。
Qヘッドスパやマッサージなど美容以外のサービスも提供していますが、申請できますか。
対象となるサービスと対象外のサービスが混在していても申請できる場合があります。多言語化(翻訳機の導入やホームページの多言語化等)など、サービスごとの区分けが困難と認められる経費は全額補助対象となり得ます。施設整備費や備品購入費は、補助対象サービスに関係する取組に区分けできる場合のみ補助対象となります。判断に迷う場合は事務局にご確認ください。
Qホームページの多言語化だけでも申請できますか。
申請経費がホームページの多言語化のみであっても申請できます。ただし、事業計画書に「店舗内の外国人旅行者受入体制(多言語対応等)の現状と今後の方向性」および「外国人旅行者向けの広報の現状と今後の方向性」を記載し、実際に外国人旅行者へのサービス提供を実施する必要があります。なお、ホームページの多言語化のみの申請であっても、翻訳機の導入など他の受入体制整備も補助対象となる場合があるため、併せて申請することを検討してください。
Q採択後に事業を途中で変更・中止したい場合はどうすればよいですか。
事業内容の変更や中止を行う場合は、事前に変更等承認申請書(事業内容変更の場合は様式第4-1号、事業中止の場合は様式第4-2号)を提出し、東京都の承認を受ける必要があります。承認を受けずに変更・中止した場合は、交付決定の取消しや補助金の返還を求められることがあります。
Q補助金を受けた後、購入した機器や設備を売却・廃棄しても問題ありませんか。
補助事業で取得した財産は、事業完了後も適切に管理・運用する義務があります。取得価格が50万円以上の財産を耐用年数以内に処分(目的外使用・売却・譲渡・廃棄など)または移設する場合は、事前に財産処分承認申請書を提出して東京都の承認を受ける必要があります。無断で処分した場合は補助金の返還を求められることがあります。
Q自分で申請するのと、行政書士にサポートを依頼するのとではどちらがよいですか。
本制度の申請書には、事業計画書(外国人旅行者受入体制の現状と今後の方向性の記載)が求められるほか、補助対象経費の区分けや添付書類の整備など、確認すべき要件が多岐にわたります。書類の準備や要件の判断に不安がある場合は、行政書士などの専門家に申請サポートを依頼することで、書類不備のリスクを軽減することができます。
公式情報(一次情報)
- 東京都産業労働局「多様な体験型観光推進事業補助金」
- 多様な体験型観光推進事業補助金 募集要領(令和8年4月1日)
- 多様な体験型観光推進事業補助金 申請FAQ
- 多様な体験型観光推進事業補助金(jGrants申請フォーム)
本記事は上記の公式情報をもとに作成しています。申請にあたっては必ず最新の公募要領をご確認ください。
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